着物をクリーニングする頻度やタイミングは決めていますか?着物のクリーニング頻度は、着る回数や汚れの状態でも変わります。「毎回クリーニングするもの?」「いつ出すのが正解?」と丸洗いに出すタイミングに悩む人が多いため、着物をクリーニングする頻度とそのタイミングについて、よくある3つのケース毎に解説していきましょう。

よく着る着物のクリーニング頻度は「1シーズン1回」!

着物ブームの到来によって、最近では20代・30代でも日常的に着物のオシャレを楽しむ人が増えてきました。友達同士の集まりや観劇で着物を着てみたり、アンティーク着物に挑戦している人も多いのではないでしょうか。

このような普段着や軽いオシャレ着として着る着物の場合、「ワンシーズンの間に何度か着る」という人がほとんどのはず。何度も繰り返し着る着物のクリーニング頻度を「毎回」にする必要はまったくありません。

目立つ汚れや汗汚れ等がつかず、着る度にきちんと自分でお手入れをしていれば、シーズン中に繰り返し着ても大丈夫なんです。

「しまう前」に1回のクリーニング頻度でOK

着物には洋服の「冬服」「夏服」と同じように、季節に合わせた種類があります。

着物の着用シーズン

・袷(あわせ):生地を二枚合わせて作っている着物。10月~翌5月頃に着用します。
・単衣(ひとえ):生地一枚で作っている着物。6月・9月の季節の切り替わり時に使います。
・絽(ろ)紗(しゃ)薄物(うすもの):涼し気な夏物の着物。6月下旬~8月に使います。

例えば袷(あわせ)の着物であれば、4月~5月に暖かくなってきたらそろそろシーズンオフということになります。着物をクリーニングに出す頻度は、基本はこのシーズンオフの頃の1回でOKです!

シーズンが終わって着物をタンスやクローゼットにしまいこむ前に、「丸洗いクリーニング」をして皮脂汚れ・ホコリ汚れ等をキレイにしておきましょう。

振袖・留袖…あまり着ない着物は「毎回クリーニング」が安心

一般的な着物のクリーニング頻度は、上記のように「ワンシーズンに一度(数回着てから)」が基本とされています。でも着物の登場回数や種類によっては、クリーニングの頻度を変えた方が良いこともあるんです。

その代表格が、着ることの少ない「礼装用の着物」。礼装用着物・礼服とは、冠婚葬祭など、フォーマル向けの着物のことを指します。

礼装用の着物の例

・振袖(ふりそで)
・留袖(とめそで)
・喪服着物
・訪問着
・色無地(紋付き)等

長期保管中のトラブル防止にクリーニング

フォーマルな着物は、なかなか着る機会がありません。「振袖を成人式に着てから一度も着ていない」「喪服着物、最後に着たのは何年前だったか思い出せない…」という人も多いのではないでしょうか?

一般的な着物のクリーニング頻度(数回着てから)で考えると、礼装用の着物は数年~10年以上もクリーニングに出さず、ご自宅にしまっておくような計算になってしまいますよね。

たった一度の着用でも、着物には目に見えない汚れが付き、長い時間をかけて少しずつ変質していきます。クリーニングに出さずに数年も長期保管していると、着物のトラブルの原因になる可能性が高いのです。

長期保管中の着物のトラブル例

・カビ(白カビ・青カビ等):着物についた汗汚れ等の成分はカビの大好物!着物にカビが生えるとカビ臭いニオイを発するだけでなく、取れないシミになってしまいます。
・虫害(虫食い):ヒメマルカツオブシムシ等の虫の幼虫は、ウール等の着物の繊維を食べて穴を開けてしまいます。食事のハネや皮脂汚れ等が付着しているところには特に虫害が発生しやすいです。
・黄変(おうへん):汗や皮脂等の成分が少しずつ酸化して、着物を黄ばませたり、茶色っぽいシミを作る現象です。最終的には着物の色が抜けたり、生地をボロボロにさせてしまいます。

「大切な着物がもう着られない状態になっていた…」こんなトラブルを避けるために、「しばらく着る予定が無い着物」のクリーニング頻度は「一回着て、しまう前にクリーニングに出す」をおすすめします。

着物にシミや汗が付いたらすぐにクリーニングへ!

最初の項目では着物のクリーニング頻度を「ワンシーズンに一度」とご紹介しましたが、これは着物に汚れ・シミなどを付けずに着ることができた場合です。

もしも着物に汚れやシミ等が付いているのを見つけた場合には、シーズンの終わりを待っているのはNG!時間が経つほどに汚れ・シミが取れにくくなりますし、シミ抜きの料金も高くなってしまいます。

汚れが付いた着物のクリーニング頻度は「付いたらすぐ」が理想的です。できるだけ早く着物のクリーニング専門の業者に持っていき、シミ抜きをしてもらいましょう。

着用毎に「汚れチェック」はしっかりと!

外出先でシミを付けた記憶が無くても、知らないうちに汚れが付いていた…ということはよくあります。シミを早期発見するためにも、帰宅したらすぐに着物全体の「汚れチェック」をすることが大切です。

着物の汚れチェックポイント

・衿元(えりもと・首のまわり):ファンデーションの白っぽいシミが付いていませんか?
・胸元・帯の上あたり等:食べ物・飲み物がハネて飛んでいませんか?
・裾(すそ)~お尻部分:泥ハネが付いていませんか?
・袖(そで)の裏側:手首の当たるあたりに皮脂汚れによる黒ずみができていませんか?

汚れチェックは明るい場所で、裏地までていねいに行いましょう。また「小さなシミだから」と見過ごすのは良くありません。着物をクリーニングに出す頻度は下がっても、最終的なシミ抜き料金が高くつく可能性大です。

「汗の汚れ」には要注意!

普段の汚れチェックでは見落としがちなのが「汗汚れ」です。汗の汚れは乾くと見た目にはわからなくなるため、「クリーニングはいらない?」と判断しがち。しかし見た目だけで着物のクリーニング頻度を減らすのはNGです。

着用時についた汗の汚れは、後々に着物を黄ばませる原因やカビの温床にもなります。汗汚れは「丸洗い」では落とせないので、クリーニングの「汗抜き」を依頼しましょう。

特に以下のような場合には汗の成分が着物に残りやすくなります。着物を着ている時・脱ぐ時等に着物の状態をしっかりチェックして、クリーニングの頻度を調整することが大切です。

汗汚れが付きやすいシーン

・夏場(気温28℃~30℃以上)の着物の着用
・夏場に礼装用着物(喪服・振袖等)を着用した場合
・車ではなく、歩き等での移動が多い場合
・ガーデンウェディング等、屋外に居る時間が長い場合
・宴会等でお酒を呑んだ時
・スピーチ等で緊張をした時 等

おわりに

着物をクリーニングに出す頻度、あなたの着物はどれに当てはまりそうですか?着物の着用頻度は十人十色。ですから、自分の着物に合うクリーニングのタイミングを見分けることが大切です。

「この着物はよく着るし、シーズン中は自分でケアしよう」「この振袖は着る予定が無いしクリーニングに出そう」等、上手にクリーニング頻度を使い分けましょう!