振袖・着物をクリーニングに出す場合、もっとも多くの人が選ぶ洗い方が「丸洗い(着物丸洗い)」です。でもこの「丸洗い」って、どんな洗い方か知っていますか?振袖に付いたシミや臭いは、丸洗いで落とせるのでしょうか?

今回は振袖・着物の「丸洗い」について、内容や料金等のよくある5つの疑問に回答し、詳しく解説していきます。

振袖・着物の丸洗いとは?どんな方法で洗うの?

着物の「丸洗い」とは、石油系の溶剤を使った洗濯方法のことを言います。もっとカンタンに例えると、洋服でいうところの「ドライクリーニング」に近い洗濯の方法なんです。

「丸洗い」という名前の理由は?

「丸洗い」という言葉は、着物をほどかずに「丸ごと洗う」ことから生まれています。でも「ほどかずに洗うってどういうこと?」「そんなの普通では?」と、不思議に思う人も多いのではないでしょうか。

洋服の場合であれば、袖(そで)や身頃(みごろ)をバラバラにほどいて洗うなんて、考えられませんよね。ところが着物の洗濯の歴史では、「ほどいて洗う」という方法が平安時代頃からあるのです。

着物の洗濯方法のひとつ「洗い張り(あらいはり)」では、着物は縫い目をほどいて洗うものでした。縫い糸を取り、水でていねいに洗って形を整え、反物(たんもの)の状態に戻してから、もう一度着物に仕立て直していたのです。

でも「洗い張り」は時間もかかりますし、着物の仕立て直しにも費用がたくさんかかります。そのため現在では日常的な着物のお手入れ方法として、「着物丸洗い」という方法が主流となっているのです。

丸洗いの方法はお店によって違う?

着物の丸洗いの「石油系溶剤を使う」という点は、基本的にどのクリーニング業者でも同じです。しかしその内容は業者・店舗によっても異なります。

クリーニング業者によっては、大型のドラム系洗濯機を使用して、何枚もの着物をまとめて洗っているところもあります。反対に一枚一枚を手洗いし、ていねいに仕上げている業者もあるのです。

またドライクリーニング前の「プレ洗い(下洗い)」をキチンと行う業者もあれば、下洗いを一切行わない業者もあります。同じ「丸洗い」でも、業者によっては仕上がりに違いが出てくることがあるわけです。この他、使用している溶剤のブレンド等も業者により異なります。

着物を丸洗いする頻度は?どんな時に丸洗いする?

着物の使い方・着る頻度は人によって違うもの。そのため「着物の丸洗いをいつするか?」という考え方には個人差もあり、「絶対にこうするべき!」というルールがあるわけではありません。

とは言え一応の目安として、多くの専門家は以下のような丸洗いの頻度や使い方をおすすめしています。

【着物丸洗いをする目安】

・季節の変わり目等、その着物を着るシーズンの終わりの時
・振袖や留袖等の礼服の場合、次回の着用予定が無い場合(保管する前)に
・着用後の皮脂汚れ等が気になる場合に

いずれにしても「しばらく着る予定が無い」「数ヶ月以上は着ないで保管する予定」という場合には、着物の丸洗いをしておいた方が良いと言えるでしょう。

「着物丸洗い」で振袖の「シミ」も取れる?

「シミが付いている振袖を丸洗いに出せば、シミもすっきり取れるはず」と考える人は多いのではないでしょうか?でも残念ながらシミの原因や程度によっては、「丸洗い」ではシミ汚れが取れない場合があるんです。

お茶やワイン…水溶性汚れは「丸洗い」で落ちない

「丸洗いとは?」でご紹介したように、着物丸洗いでは「石油系の溶剤」を使い汚れを落としていきます。そのため、以下のような「油溶性の汚れ」を落とすことは比較的得意です。

【油溶性の汚れの例】

・皮脂汚れ
・口紅等のメイクの汚れ
・マヨネーズのシミ 等

しかし水に溶けやすい「水溶性の汚れ」や、油にも水にも溶けにくい「不溶性の汚れ」は、着物丸洗いではなかなか落とすことができません。

【水溶性の汚れの例】

・コーヒーのシミ
・ジュースのシミ
・ワインのシミ
・水シミ(雨などによるシミ等)

【不溶性の汚れの例】

・インク(ボールペン等)のシミ
・泥汚れ 等

古い汚れや大きな汚れも苦手

油溶性のシミでも、以下のようなガンコなシミは「丸洗い」だけで落とすことが難しいです。

【丸洗いで落としにくいシミの例】

・付いてから時間が経過したシミ(古いシミ)
・大きなシミ(直径3センチ~5センチ以上)
・油溶性と水溶性が混じっているシミ(食事の食べこぼし等)
・汗ジミ 等

上記のようなシミを落とすには、「丸洗い」だけで終わらせず、それぞれのシミに対処する「シミ抜き」をお願いしましょう。

丸洗いで振袖・着物の「臭い」も取れる?

「振袖が臭いんだけど、丸洗いに出せばニオイは取れる?」…この問題については、臭いの原因によっても答えが変わってきます。

「食事の匂い」は丸洗いで取れることも

外食に行くと付いてしまいがちなのが「食事の匂い」。なんとなく着物が油臭い…この理由のひとつには、換気状態が十分ではなく、調理の煙に含まれる「油」が着物にくっついていることが挙げられます。

このような場合は、着物丸洗いで繊維の油汚れを取り去ることで、振袖等の着物の臭いを改善できる可能性があります。特に消臭・除菌効果がある洗浄液を使う業者なら、着用時のイヤな臭いをキレイに取ることができるでしょう。

「カビの臭い」は丸洗いでは落とせない

「着物を押入れから出してきたら臭い!」…こう感じる理由の第一位は、カビによる「カビ臭さ」です。カビは見えるところに生えていなくても、着物の繊維の奥に根を張っており、着物からイヤな臭いを発生させます。

着物からしてくる臭いが「ホコリ臭い」であったり、「何かが腐ったような臭い」なら、原因が「カビ」である可能性が高いです。特に正絹の着物にはカビが生えやすいもの。年に1回程度の虫干しでは予防ができず、着物にカビが生えてしまうケースも見られます。

この場合は、着物から「カビ」を除去しないと臭いが取れません。溶剤で洗う「着物丸洗い」ではカビは取れないので、別途「シミ抜き」「カビ取り」等の作業を依頼する必要があります。

振袖・着物の丸洗いの値段はいくら?料金相場は?

着物の丸洗いの料金の値段は、業者によっても異なり7,000円台~15,000円台となっています。やや料金の開きが大きいので、「丸洗いの料金相場はいくら」と言うのは少々難しいところです。

着物の種類で料金が変わることも

着物の丸洗い料金については、着物の仕立てや種類による料金変動制とする業者も多いです。例えば一般的な袷(あわせ)の着物が8,000円だとしたら、振袖や留袖は9,000円といった具合です。

振袖等の礼装用着物やボリュームが有る種類の着物は、丸洗いの料金値段が一般的な着物より高くなる傾向が見られます。ただ最近では、普段着着物も振袖も関係なく丸洗いの料金を一律としている業者も増えました。振袖を丸洗いに出すなら、一律料金の方がオトクですね。

丸洗いの料金だけでなく内容もチェック!

「丸洗いとは?」の項目で解説したとおり、一口に「丸洗い」と言っても、その細かな内容は業者によってかなり異なるもの。振袖・着物丸洗いを依頼する場合には、料金比較だけでなく以下のような点をチェックしておくことをおすすめします。

【丸洗い業者選びのチェックポイント】

1.着物専門のクリーニング業者かどうか
2.「丸洗い」の工程をホームページや店頭で説明しているか
3.丸洗いでも手作業の工程が多いか
4.ドライクリーニング前に下洗いをしているか
5.消臭・除菌等の対応をしているか

上記のような点を重視してお店を選ぶことで、着物丸洗い後の仕上がりに違いが出てくることでしょう。

おわりに

着物の丸洗いの内容や料金等の解説はいかがでしたか?「丸洗い」は、振袖等の礼服を着た後や着物を長く保管する前には必ずしておきたいお手入れ。手軽な価格であることが理想的ですが、大切な着物を守り、納得のいく仕上がりのお店を選ぶことも大切ですよ。