着物の洗い張りは和装クリーニングの一種ですが、どんな時に必要なのでしょうか。また、着物の洗い張りをお願いすると、反物の状態で戻ってくるため、ビックリする方も多いようです。
そこで、着物の洗い張りとはどんなものなのか、また、どんな場合に向いているのかを詳しく紹介します。

「きものSalone」の編集長がオススメする着物クリーニングはここ。 きものtotonoe 


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着物の洗い張りとは?

着物の洗い張りとは、着物の縫い糸をほどき反物の状態に戻してから洗う、クリーニング方法です。
洗い張りという言葉は、「洗った反物を張る」という工程を意味するもので、洗いあがった反物は新たに布のりを引き、のし作業を行うことで、以前の風合いを取り戻し、生地を蘇らせることができます。

洗い張りは反物の状態で仕上げるもの

洗い張りの場合、仕上がりが反物の状態になるため、着物として着るのであれば仕立て直しが必要になり、その分の時間と費用がかかります。
このことを知らずに頼んでしまい、反物で戻ってきた着物にショックを受けたり、仕立て直しの時間と費用がさらに必要と知って納得がいかないという方もいるようですが、洗い張りというのは元々、反物の状態でお戻しするものなのです。
しかし裏を返せば、洗い張りをして反物の状態に戻したからこそ、きれいに仕立て直すことが可能になります。
また、仕立て直すときに寸法を変える、古くなった裏地を変えたり、八掛の色を変えることで着物の雰囲気を変えることもできるようになります。

洗い張りは寸法直しの前にもオススメ

洗い張りは、着物のカビがひどいときにオススメのクリーニング方法といえます。
丸洗いでは表面の汚れやカビしか取れないため、落ちにくい胴裏の裏側までカビてる場合など、カビがひどいときには着物を分解して洗う洗い張りが有効です。

また、着物の寸法を直す際のクリーニングにも向いています。
例えば、最近また見直されている成人式のママ振り(ママの振袖)のように、母親の着物を娘が着る場合、寸法を直す前に洗い張りをして、長年の保管で出来てしまったシミやカビなどを落としておくことが大切です。

また、嫁入り道具として持ってきたけれど、長い間、着ることのなかった黒留袖や訪問着は、シミやカビで一度洗わなければ着られないことも多いはず。長い間に体型が変わっている方も多いと思うので、この際、洗い張りをして寸法直しをしてみてはいかがでしょうか。

愛用してきた着物をコートや羽織、バッグなどにリメイクする際にも、反物の状態で仕上がる洗い張りが便利です。

実際に着物を洗い張りする手順

洗い張り(仕上がり・納品)
洗い張りの完成品

洗い張りはクリーニング店や悉皆屋によってやり方は若干異なります。
ここではきものトトノエの工程を例に取り、簡単に紹介します。

きものトトノエの「洗い張り」の工程
(1)クリーニングする着物の縫い糸をすべて解きます。
(2)袖、身頃、八掛などのパーツごとに分けます。
(3)解いたパーツを縫い合わせる端縫い(はぬい)を行い、反物の形に戻します。
(4)反物状態の着物を、油性のドライ溶剤でくまなく洗います。
(5)洗った反物を一日乾かします。
(6)水洗いをして水溶性のシミを落とします。
洗い張り(水入れ) 洗い張り(水入れ)
(7)残っている縫い線やシワなどを伸ばすため、機械でのし作業を行い反物を整えます。
(8)生地の状態によっては、さらにシミ抜き、箔修正などを施します。
(9)再仕立てを希望される場合だけ、仕立て直します。

希望されない場合には、反物の状態でお返しします。
洗い張り(仕上がり)

洗い張りは自宅では不可能プロに依頼を

洗い張りには仕立て直しの時間と費用がかかることも多いため、自宅でできないの?という質問をよく受けます。
お気持ちはよくわかりますが、着物を解くことはできても、和裁の技術がないと反物の状態には戻せませんし、仕立て直すのも不可能です。
また、着物を水につけて伸ばすのし作業がうまくできずに生地が縮んでしまうことも多く、一度縮んでしまうと元には戻せませんから、とてもオススメはできません。洗い張りは技術のある職人がやってこそのクリーニング方法ですから、クリーニング店や悉皆屋に頼んだほうがよいでしょう。

まとめ

着物の洗い張りは、着物を分解して反物に戻すことで、着物のすみずみまで洗濯する方法です。
とくに寸法直しをする前に施しておくと、生地が鮮やかに蘇るため、昔の着物をもう一度、美しい状態で着ることができます。
嫁入り道具で持ってきた20~30年前の着物を着たい方や、自分の着物を娘に着てほしいと思っているママさんにも、オススメのクリーニング方法です。


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