長期保管していた着物の畳みジワ、着た後に付く着ジワ…着物には様々な「しわ」が付いてしまいがち。着物のしわは放置をしておくだけではなかなか取れず、次回の着用の時に見た目が悪くなってしまいます。

自宅やクリーニング店で着物のしわ取りケアをして、着物をしわの無いキレイな状態に戻しましょう。今回は自分で着物をしわ取りをする基本的な方法と、クリーニング店にしわ取りを依頼する場合の注意点を解説していきます。

着物のしわ取りの基本は「陰干し」

着物を自分でしわ取りをするベーシックな方法は「陰干し(かげぼし)」です。陰干しとは「陰(日陰)」という名前がついているとおり、直射日光にあてずに着物を干すことを意味しています。

陰干しは着物の着用前と着用後の両方に行うことが大切です!コツを押さえて毎回きちんと陰干しをしておけば、着物のしわ取りのためにクリーニングに出す回数を減らすことにも繋がります。

準備するもの

・着物ハンガー(和装ハンガー):着物専用のハンガー。洋服用と違い形がまっすぐです。着物の袖が余らない長さがあるものを選びます。
・綿の白手袋:手の汚れを着物に付けないために使います。薬局やドラッグストアでも購入できます。
・衣装敷(いしょうじき):着物の着替えや畳む時に使う和紙製の敷物です。

陰干しで着物のしわ取りをする手順

1)屋外の直射日光のあたらない場所か、屋内の日が差さない場所を選びます。屋内の場合は、窓を開けて換気をします。
2)室内で衣装敷を敷いて、着物を裏返しに広げます。
3)着物のしわが気になる部分を手袋をはめた手で、裏側から軽くプレスするように伸ばしてしわ取りをします。
4)着物を着物専用のハンガーにかけます。
5)着物の形をよく整えます。着物のしわ取りをしたい部分は、手袋をはめた手でもう一度軽くプレスするようにしながら整えます。
6)帯も同様に帯掛け(おびかけ)もしくはハンガーにかけて、手でよく形を整えます。
7)最低でも2日間程度は干し続けます。シワがひどい場合には数日間~一週間以上干しておきます。屋外の場合、夜間は湿りやすいので屋内に取り込みましょう。

軽い畳みジワでも、着物のしわ取りをするには最低2日間程度はかかります。着物を着る日が決まったら、早めに着物を出して陰干しすることが大切です。

アイロンで着物のしわ取りをする方法

「着物のしわ取りのためにクリーニングに出すのは大変そう」「陰干しでは間に合わない!」…こんな時、アイロンで着物のしわ取りをしたいと考える人も多いのではないでしょうか?

洋服に比べてデリケートな着物にアイロンをかける方法は、難易度が少々高めです。ここではアイロンを使った着物のしわ取りの方法に加えて、様々な注意ポイントもご紹介していきます。

準備するもの

・アイロン
・アイロン台
・着物ハンガー
・霧吹き(きりふき):できるだけ細かな霧が出るものを選びます。
・共布もしくは胴裏:共布(ともぬの)とは、着物と同じ生地のこと。かけはぎ・かけつぎ等のために、着物の購入時に共布が入っています。胴裏(どううら)は裏地に使っているのと同じ生地のことです。
・さらしもしくは白の木綿生地:共布もしくは胴裏が無い場合に代用として使います。必ず白色のもので、色物は厳禁です。大きさは40センチ~50センチ程度が良いでしょう。

アイロンで着物のしわとりをする手順

※必ず注意ポイントまですべて目を通してから作業を行いましょう。
※ご自宅でのアイロンがけで着物の生地が変質する恐れがあります。作業は自己責任で行ってください。

1)アイロンは素材に合わせた温度に温めておきます。
2)アイロン台に着物のしわが気になる部分を裏返しにして広げます。
3)アイロンをかける部分に共布もしくは胴裏であて布をします。
4)あて布の上から霧吹きを軽くかけます。
5)アイロンをあて布の上から優しくあてて、滑らせるようにすばやく動かします。
6)あて布を外してシワの状態をチェックします。
7)シワが取れていない場合、再度あて布をあてて5)と反対の方向にアイロンをすばやく動かします。
8)シワが目立たなくなったら、着物ハンガーにかけて形を整えます。

着物をしわ取りする時の注意ポイント

・着物のしわ取りをする前に、裏面等の目立たない部分にアイロンをあて布つきでかけて、変色・褪色が起きないかテストをしておきましょう。
・霧吹きは必ずあて布の「上」からかけます。着物に直接水をかけるのは厳禁です。
・アイロンを強く押し当てるのはやめましょう。着物の風合いが失われる原因になります。
・アイロンを動かすのが遅いと、生地をいためる原因になります。
・金糸銀糸・金箔銀箔・刺繍加工のある部分にはアイロンをあてるのはやめましょう。箔のはがれや変色を起こす恐れがあります。
・正絹(シルク)は非常に縮みやすいため、ご自宅でのスチームアイロンがおすすめできません。表地もしくは裏地に正絹を使った着物の場合、上記の方法を使うのはやめておきましょう。

着物のしわ取りでクリーニングに出す時の注意点3つ

着物についたシワが深い場合や、訪問着や留袖・振袖等の大切な礼服着物のしわ取りをする時には、クリーニング店に出すのがもっとも確実な手段と言えます。ただし、クリーニングのお店やオーダー方法は慎重に選ぶことが大切です!

「とにかくクリーニングしておけばいいか」と適当に決めてしまうと、残念な結果になってしまう可能性も。着物のしわ取りをクリーニング店にお願いする場合の注意点も知っておきましょう。

着物に対応したクリーニング店を選ぶ

着物のしわ取りを頼むクリーニング店については「お近くのお店でOK」とは言い切れません。着物専門のクリーニング店、もしくは着物クリーニングに対応した店舗である必要があります。

これは着物と洋服ではアイロン(プレス)のかけ方が大きく違うためです。着物は縫い目を表に出さないよう、丸みを残してふっくらとプレスをかけなくてはいけません。

安価な洋服向けのプレスだと、せっかくの着物の風合いが失われてしまうのです。着物のしわ取りをするつもりが台無しに!とならないよう、専門のクリーニング店を選びましょう。

着物のしわ取りをする時は丸洗い?プレスのみ?

着物のしわ取りをクリーニング店に依頼する場合のメニューは、大きく分けて2種類あります。

・着物丸洗い:洋服で言うところのドライクリーニングです。最終工程にプレス仕上げ(アイロン)があり、着物のしわ取りができます。もっとも一般的な着物のクリーニングのメニューです。
・プレス加工のみ:プレス(アイロン)の加工だけを行うメニューです。このメニューがあるかどうかは店舗によって異なります。

料金的には「プレスのみ」の方が安価です。ただしプレスのみで済ませる場合、着物のクリーニング(洗い)の工程は一切ありません。そのため以下のようなデメリットもあります。

・シミがあった場合、プレス後はシミ抜きでは取れにくくなる
・保管中の黄変(汗などの成分による変色)は防げない
・カビの発生等を防ぐ効果は無い

既に何度か着て皮脂・汗の汚れが付いた着物や、これから着る予定が無く長期的に保管するつもりの着物は、しわ取りだけでなく「着物丸洗い」で汚れも落としておいた方が良いでしょう。

特にクッキリと着物のお尻や膝部分に着ジワが付いた時には要注意!着ジワが深いということは、着ている時に汗をたくさんかいた可能性大です。丸洗いに「汗抜き」のメニューも加えることをおすすめします。

着物のしわ取りは早めに依頼しよう!

着物のしわ取りは、洋服のクリーニングに比べて時間がかかります。ワイシャツのように「即日・当日仕上げ」とはいかないケースがほとんどです。

着物専門の業者と提携しているタイプのクリーニング店の場合、一度別の業者に着物を渡す工程が入るため、余計に時間がかかります。また自社で着物クリーニングを行う専門店でも、成人式前後の繁忙期等には納期が延びがちです。

着物しわ取りメニューの納期はクリーニング店舗により異なりますが、平均1週間~2週間程度見ておいた方が良いでしょう。着物をしわ取りするためにクリーニングに出す時には、余裕を持って早めに依頼することが大切です。

おわりに

着物のしわ取りの方法やクリーニング店に依頼する場合の注意点はいかがでしたか?「訪問着や留袖・振袖等のフォーマルな着物は、特にシワがあるのが目立ちやすいものです。

「着物のシワがちょっと気になるかも」と思ったら、早めにきちんとしたしわ取りケアをしておきましょう。