比翼仕立ての留袖を久しぶりに出してみたら、裾から比翼部分がはみ出していたり、衿元の比翼部分が変色しているなど、とても結婚式には着られない状態に。
こんな比翼仕立てならではのトラブルは、どうすればいいのでしょうか。
そこで今回は、そもそも比翼仕立てって何?という着物初心者の方にもわかるように、ありがちなトラブルや、専門店ならどう修繕してくれるのかなどをご紹介します。

留袖だけにある比翼仕立てとは?

留袖だけにある「比翼仕立て」とは、そもそも何なのでしょうか。

比翼仕立てとは、留袖の裏に比翼地という白生地を縫い付けることで、白い着物を重ね着しているように見せる仕立て方のこと。

実は昔はお祝いの席で留袖を着る場合、下に白い着物を重ね着するのが当たり前でした。

重ね着をすることで「良いことを重ねる」という意味が生まれるため、結婚式などでは喜ばれる留袖の着方として定着していたのです。

しかし、重ね着は重いし暑いし、動きにくいもの。そのため、重ね着をしているように見える比翼仕立てが考え出されました。

そのため、いまではほとんどの留袖が比翼仕立てで作られています。

比翼仕立てにありがちなトラブルとは

そんな留袖の比翼仕立てには、どんなトラブルが起こりやすいのでしょうか。

比翼が表地からはみ出してしまった

もっとも多いのが、留袖の裾から白い比翼が見えてしまい、みっともなくて着られないというトラブルです。

留袖を脱いだあとに、長期間吊るしてしまったことから、重さに負けて比翼が垂れ下がってしまうことがあります。

また、留袖の表地は正絹なのに比翼地は化学繊維だと、クリーニングや湿気、経年劣化などによってズレが生じた場合、布の伸縮率が合わなくて、比翼だけが出てしまうことも考えられます。

比翼部分が変色してしまった

比翼は白地のため、経年劣化による黄変などのシミや変色などが、どうしても目立ってしまいます。

留袖を保管する前に、丸洗いだけで汗抜きや染み抜きをしておかないと、シミや黄変が激しく出てしまう原因になります。

色留袖に比翼が付いていない

色留袖を仕立てるときに、お宮参りや七五三など幅広い場面で着られるようにと、比翼なしで作られる方が見受けられます。

しかし、子どものイベントが終わり、身内の結婚式がたて続きにあることから、今度は色留袖を結婚式で着られるように比翼仕立てにしたいという方もいらっしゃるようです。

比翼の裾直しや交換は専門店に依頼を

比翼が裾から出てしまったり、変色しているため、この留袖はもう着られないかもと諦めている方は、ぜひ一度、きものトトノエのような着物ケアの専門店に問い合わせてみましょう。

比翼の裾直し

例えば、きものトトノエならば比翼の裾が表地より長く出てしまった場合、裾部分だけを短くするお直しができます。

自分でなんとか出ている比翼部分をつまんで縫おうとする方がいますが、キレイにお直しするのは難しいので避けたほうが無難。長く着るつもりの留袖ならば、しっかりとプロに修繕してもらうことをオススメします。

比翼の一部交換

着物ケアの専門店であれば、比翼の裾や袖部分など、シミや変色が目立つ部分だけの交換も可能です。比翼全体の交換よりも時間もかからないうえ、料金も抑えられます。

比翼付け

全体的に変色しているため、衿、袖の口、振り、裾回しの比翼をすべて交換する場合や、比翼仕立てになっていない留袖には、比翼付けを行います。

きものトトノエの場合、比翼地の持ち込みも可能ですので、お気軽にお問い合わせください。

比翼直しや比翼付けにかかる期間と料金

比翼直しや比翼付けには、どの程度の期間と料金が費用なのでしょうか。

きものトトノエの一例

比翼の裾が表地より出ている場合      50日  9,900円(税込)

比翼付け(全体的に比翼交換)する場合  50日  37,950円(税込)

持ち込みの比翼地で比翼交換する場合  50日  21,450円(税込)

ただし、繁忙期や比翼の状態によって変更になる可能性があります。

まとめ

比翼が裾や袖からはみ出してしまったり、シミや黄変で変色してしまうなど、トラブルが起きてしまっても、修繕できる可能性があります。

諦めてしまう前に、きものトトノエのような着物修繕のプロに相談することをオススメします。