振袖の保管方法を知っていますか?振袖等の着物のオシャレを楽しんだ後には、振袖を保管する方法を知っておきたいところ。着物はとてもデリケートなので、お手入れや保管方法を間違えるとせっかくの振袖がダメになることも。今回は振袖の保管方法や、保管中の上手なお手入れ方法をご紹介していきます。

振袖を保管するのは「桐タンス」?「衣装ケース」?

振袖等の着物は、どのように保管しておくのが良いのでしょうか。いくつかの収納方法を説明します。

「桐タンス」は理想的な振袖の保管方法

振袖・着物のもっとも伝統的でスタンダードな収納法が「桐タンス(和ダンス)」に保管する方法です。「桐(きり)」はカビの原因となる湿気を吸う力が強い木材。さらに桐の自然の香りには、虫食いを防ぐ防虫効果もあります。日本では昔から「衣類の保管には桐が一番良い」と言われてきました。

【タンスでの着物の収納法】

1)振袖・着物は本畳み(ほんだたみ)に畳んでおきます。
2)振袖・着物は一枚一枚「たとう紙(文庫紙)」で包みます。
3)たとう紙ごと引き出しに入れて、重ねて収納します。

※一段の引き出しにたくさん着物を入れないようにしましょう。その方が湿気もこもらず、お手入れの時にもラクです。
※振袖を着物専用クリーニングに出した場合には「本畳み(二つ折り)」の状態で手元に戻ってくるため、そのままタトウ紙に入れてタンスに収納すればOKです。
※引き出しの長さと振袖の長さが合わない場合には、二つ折りから三つ折りに折り直します。

「桐ケース」ならクローゼットにもOK!

現代の日本では、ご家庭に桐タンスや和ダンスが無いことも多いはず。「これから振袖用の収納を用意する」という場合には、桐の衣装ケース(衣装箱:いしょうばこ)がおすすめです。

衣装箱とは、振袖等の着物をたたんだままの形で平らにしまえる専用の収納箱のこと。着物を一枚だけ保管できる手軽な一段タイプから、数枚保管できる三段組~五段組タイプまで、様々な深さの桐の収納ケースが販売されています。

現在ではクローゼットの中にピッタリと入れられるサイズの桐の衣装箱が、人気のインテリアブランドやインテリア系通販サイトでも取り扱われるようになりました。お値段も安いものなら数千円程度と、タンスに比べてリーズナブルです。

着物専用保存袋で振袖をコンパクトに保管

「もう少しお金をかけずに振袖を収納したい…」という場合には、着物専用の保管袋・保存袋(きもの収納パック)を使ってみましょう。抗菌効果・防虫効果をほどこした不織布で作られる専用の保管袋なら、押入れ・クローゼットのスキマにも振袖をしまっておけます。

着物専用の保存袋は、着物を販売する呉服店の他、最近ではインターネットでも販売されています。価格は1枚あたり1,000円台~2,000円前後です。

ただし保存袋での収納は、タンスや桐のケースに比べて振袖にシワが寄りやすいので注意!こまめにお手入れをして、シワが付いていないかチェックしましょう。また収納袋は重ねられないので、何枚もの着物の収納には向いていません。

振袖をプラスチック衣装ケースで保管するのはダメ?

洋服等の収納にも使えるプラスチック製の衣装ケースは、残念ながら振袖の収納にはあまり向いていません。プラスチックは中に湿気がこもりやすく、振袖等の着物に「カビ」が発生しやすいのです。

「どうしても今だけはプラスチック製で間に合わせたい…」という場合には、衣装ケースの中に大きくて強力な除湿剤(湿気とり)を入れて、こまめに交換をしましょう。大きな除湿剤を入れる必要があるので、振袖に対してたっぷりと余裕があるサイズの衣装ケースを使ってください。

振袖を保管する場所は「通気性」が大切!

振袖の保管中にもっとも起こるトラブルが「カビ」!お手入れをしようとしたらカビくさい…こんなトラブルを防ぐために、できるだけ風通しの良い状態で着物を保管するようにしましょう。

湿気がこもる場所での保管はNG!

バス・洗面所・脱衣所・トイレ・キッチン等、水を使う場所に近いところ(廊下含む)にタンスやケースを置くのはやめましょう。これらの場所は湿気が多く、いくらこまめにお手入れをしてもカビが防ぎきれません。着物を収納する場所は、以下のような条件で選ぶのが理想的です。

【振袖の保管に向いている場所】

・直射日光があたらない部屋・スペース
・風通しができるだけ良い部屋・スペース
・窓があり、換気がしやすい部屋・スペース

タンスや衣装ケースは壁から離して

桐タンスや衣装ケース類を壁にピッタリと付けるのはNG。壁とタンスの間に空気がこもりやすく、この部分からカビが発生することがあります。壁とタンスは10センチ程度は開けて置くようにしましょう。

着物専用の「防虫剤」「乾燥剤」でトラブル防止!

カビや虫食いを防ぐためには、専用の乾燥剤や防虫剤をキチンと入れておくことも大切です。

乾燥剤(除湿剤・調湿剤)はたっぷりと

桐タンス等に振袖を保管する場合には、引き出し式のシート型除湿剤を一段ずつ入れます。クローゼットの中に衣装ケースを入れて保管する場合には、ケースにはケース用の除湿剤(シート型)を入れて、さらにクローゼット全体用の除湿剤も用意しましょう。

乾燥剤・除湿剤の状態はお手入れの時にこまめにチェックして、効果が切れるサインが出ていたり、水が溜まっていたらすぐに交換します。

防虫剤は着物専用タイプを

振袖の保管では、虫食いを防ぐための「防虫剤」を入れることも大切。でも日常的に使う「洋服タイプの防虫剤」だと、振袖等の着物の生地をいためたり、着物の金箔(きんぱく)の加工を変色させることがあります。以下のようなポイントに気をつけて選びましょう。

【振袖保管用の防虫剤の選び方】

・「着物専用」と書いてあるものを選ぶ
・シートタイプが便利
・着物にニオイがつかないものが理想的
・防カビ剤(チモール等)も入っていること

防虫剤の成分には「パラジクロロベンゼン」「ナフタリン」「樟脳(しょうのう)」等がありますが、「ピレスロイド系(エンペントリン)」が他の防虫剤と組み合わせても使えて便利です。香りもつかず、タンスから出したらすぐに着物を着ることができるなど、お手入れの面もラクですよ。

振袖の基本のお手入れは「虫干し」

振袖等の着物の場合、「たたんで保管したら、次に着るまでしまいっぱなし」…というのはNG!カビの発生や虫食い等を防ぐためのお手入れとして、定期的に「虫干し(むしぼし)」をしましょう。虫干しは年に最低2回、できれば3回するのが理想的です。

虫干しは保管中に行う他、振袖を着た後のお手入れとしても行います。

虫干しの方法

1)振袖を広げて、着物専用のハンガーにかけます。
2)屋外もしくは室内で、直射日光のあたらない風通しの良い場所に干します。
3)室内に干す場合には、窓を開けて風を通します。
4)屋外の場合は3~4時間程度、室内の場合は丸一日程度は風にあてます。
5)振袖を本畳みして、タンスやケースに保管します。

※直射日光に絶対にあてないようにしましょう。短時間でも色あせや変色が起きることがあります。

虫干しのタイミング

振袖を虫干しするお手入れは、湿度が低く空気が乾燥している季節に行うのが一番です。

・冬の場合:1月~2月上旬頃
・夏の場合:梅雨の終わり~8月上旬頃
・秋の場合:10月~11月上旬頃

※梅雨の時期、台風の接近している時等は湿度が上がるため、虫干しをしないでください。
※晴れの日が2~3日続く時が理想的です。

虫干し中には振袖の状態をチェック!

虫干しをしている間には、振袖・着物の状態をこまかくチェックすることも大切です。

【振袖のチェックポイント】

・変なニオイ(カビ臭いニオイ等)がしないか?
・白・黒・緑色等のポツポツとした斑点(カビ)ができていないか?
・着物の裏地が変色していないか?
・輪ジミや油ジミができていないか? 等

少しでも「おかしいな?」と思うところがあったら、早めにクリーニング店に相談をしましょう。

<<おわりに>>
振袖・着物の保管方法やお手入れのやり方はいかがでしたか?カビや虫食い等のトラブルを防ぐには、「保管する前」にカビ菌や虫の好物である「皮脂汚れ」や「ホコリ汚れ」をしっかり落とすことも大切です。「振袖をしばらく着ない…」という場合には、保管する前にキチンとクリーニングに出して、汚れを落としておきましょう!