着物ハンガーへのかけ方にはコツがあるのをご存じですか。着物を広げた形にする着物ハンガーへのかけ方は、着物や長襦袢を着る前のシワとりや着た後の陰干しにと、さまざまな場面で必要に。そこで上手な着物ハンガーへのかけ方や、着物ハンガーの選び方、おすすめしたい着物ハンガーなどもご紹介します。
目次
着物ハンガーを使用する3つのメリット
着物をハンガーにかける場合には、洋服に使用する通常のハンガーではなく、着物専用のハンガーにかけることが大切です。
こういうと、なぜ着物専門のハンガーでなければいけないのかと疑問に思う方も多いようですが、その理由は次の3つ。
1.着物のシミや汚れを見つけやすい
着用したあとの着物を着物ハンガーにかけてしっかり広げることで、隅々までシミや汚れがついていないかのチェックをすることができます。
2.風通しが良く虫干ししやすい
陰干しや虫干しをするときに、着物の袖をしっかり伸ばして吊ることで、着物全体に空気が通って湿気やにおいを払ってくれます。
3.畳んだ時のシワを生地の重みで伸ばせる
久しぶりにタンスから出した着物にシワが寄っていた……ということがありますよね。
そんなとき着物をハンガーで吊っておくと、ある程度、シワを伸ばすことができます。
着物ハンガーの選び方・5つのポイント
では、どんな着物ハンガーを選べばいいのでしょうか。
着物ハンガーと一口にいっても、その用途や形状、サイズや素材は製品によって異なります。自分に合った着物ハンガーはどのように選べば良いのか?5つのポイントを解説します。
1. 着物ハンガーの用途で選ぶ
2. 伸縮タイプか折り畳みタイプかを選ぶ
3. 着物ハンガーを伸ばしたときの長さで選ぶ
4. 着物ハンガーに帯掛けがあるかで選ぶ
5. 着物ハンガーの素材で選ぶ
着物ハンガーの用途で選ぶ
着物ハンガーの用途には次の2種類があります。
メンテナンスで使用する
着物を着た後に陰干しする場合や、年に数回は行う虫干しなどで使用します。
収納用で使用する
たとう紙に包んで収納するのではなく、ハンガーに掛けて収納する方が増えています。
場所を取らず、シワになりにくいため人気に。
収納用の着物ハンガーは普段着で着物をよく着る人におすすめします。
2.伸縮タイプか折り畳みタイプかで選ぶ
着物ハンガー選びでは、以下のようなコンパクトに収納できるタイプが便利です。
伸縮タイプ
着物ハンガーの竿(さお)の部分を「突っ張り棒」のように長さを伸ばしたり縮めたりできます。取扱いもカンタンでシンプル。着物の扱いに慣れない人、着物をあまり着ない人にもおすすめです。
折り畳みタイプ
着物ハンガーの竿の部分を二つ折り、もしくは三つ折りにして収納できます。三つ折りタイプは特にコンパクトで、旅先で着物を着る人にもおすすめの着物ハンガーのタイプです。なお伸縮タイプのような微妙なサイズ調整はできません。
3.着物ハンガーの「最長サイズ」で選ぶ
着物ハンガーは縮めた時や折り畳み時のコンパクトさだけでなく、伸ばした時のサイズを確認しましょう。特に身長の高い人や男性の場合、サイズが短い着物ハンガーでは着物の袖部分が余って折れ曲がり、シワの原因になります。
着物の裄丈(ゆきたけ)を測り、その2倍以上の長さがある着物ハンガーを選ぶのがおすすめ!着物の裄丈の測り方は「襟の付根の中央部~袖先まで」を測ればOKです。
4.着物ハンガーに帯掛けがあるかで選ぶ
お部屋が狭い人、着物を旅先でも着たい人には、帯掛け(おびかけ)付きの着物ハンガーの方がおすすめ。帯掛けがあれば着物と帯を一緒にかけられて、省スペースとなるためです。ただし帯掛けが無い場合には、洋服用のハンガー等でも代用はできます。
5.着物ハンガーの素材は用途と頻度で選ぶ
着物ハンガーの素材には、それぞれメリット・デメリットがあります。用途や着物を着る頻度に合わせて着物ハンガーの素材を選ぶのがおすすめです。
・ABS樹脂・プラスチック・アクリル:軽く携帯性に優れます。また安価で買いやすい一方、非常に安価な製品だと重みで変形することも。長襦袢と着物を着物ハンガーに重ねてかけるかけ方や、振袖には不向きです。
・ポリカーボネート樹脂:非常に丈夫で変形しにくい素材なのが魅力。
・木製・竹製:通気性が良く、見た目にも日本らしさがあるため、和のインテリアとも好相性。ただし3種類の中ではもっとも平均価格が高めです。
使い勝手抜群!着物ハンガーおすすめ6選
では、実際にどのような着物ハンガー製品がおすすめなのでしょうか?人気の高い4つの着物ハンガーをご紹介します。
【メンテナンス用】
1.1010きものハンガー3段
・伸縮タイプ
・最小サイズ51センチ
・最長サイズ125センチ
・素材:ポリカーボネート樹脂
・実売価格:1,250円
もっともスタンダードな着物ハンガーです。軽くて丈夫なポリカーボネート樹脂を使用。着物、帯、襦袢の3点掛けが出来きるのも大きな魅力。
※注:以下、各URLは製品の参考ページです。メーカー公式ページが無いため販売ページを参考に付けました※
2. 1010きものハンガー(折りたたみ式)長尺
・折り畳みタイプ
・最小サイズ30センチ
・最長サイズ140センチ
・素材:アクリル
・実売価格:1,250円
コンパクトに持ち運べる折り畳み式の着物ハンガー。収納袋もついているので旅先などの外出先で着物に着替えたい時に、持参しておくと便利。
3.日本製硬質PVC きものハンガー帯掛け付
・伸縮タイプ
・最小サイズ 50センチ
・最長サイズ 126センチ
・素材:硬質PVC
・実売価格
伸縮しやすい着物ハンガー。先端部の形状の改良を重ね、引き出しやすくなりました。また、硬質PVCを使用しているため耐久性に優れているのも特徴。国産製品なので安心して使用できます。
4.有平化成工業所 着物ハンガー
・伸縮タイプ
・最小サイズ50センチ
・最長サイズ124センチ
・素材:ポリカーボネート樹脂
・実売価格1,000円~2,000円
航空機や鉄道車両の素材になるほど丈夫な「ポリカーボネート樹脂」を使った着物ハンガーです。長襦袢と着物をまとめたかけ方をしたい人でも安心して使用できます。品質に定評のある国産製品なのもポイント。
5.折りたたみ式(長尺)きものハンガー
・折り畳みタイプ
・最小サイズ30センチ
・最長サイズ140センチ
・素材:アクリル
・実売価格600円~1,000円
折りたたむと最小30センチになる超コンパクト設計が特徴です。出先に着物を持っていく人には特におすすめの着物ハンガーと言えます。ただ折り畳み方が少々難しいので、何度か練習をしておくと良いでしょう。
【収納用】
6.クローゼット着物ハンガー つる子さん
・サイズ : 横40センチ×縦3センチ
・素材:PEコーティングスチール
・実売価格
着物を畳んだ状態で吊り下げて保管できるハンガー。そのまま洋服のクローゼットに収納可能です。シーズン中に着回す着物や、着物を畳むのが苦手な方、和ダンスを置くスペースがない方におすすめです。
知らなかった!着物ハンガーのかけ方のコツ
着物ハンガーを手に入れたら、早速着物をかけてみましょう。着物ハンガーのかけ方のコツを解説します。
ハンガーをかける場所は洋服と違う?
着物ハンガーのかけ方の第一は「ハンガーをかける場所探し」です。洋服の場合、コート掛け等の「自分の目線程度の高さ」にハンガーをかける場所を探す人が多いですよね。でも着物ではこの高さはNGです!
着物の丈には「おはしょり」が加わるので、洋服と同じ高さにハンガーをかけると裾(すそ)を引きずってしまいます。自分の身長よりも20センチ~30センチ以上高い場所に着物ハンガーをかけるようにしましょう。
着物をかける順番は?帯が先?
本来の着物ハンガーのかけ方では、着物ハンガー1枚に対して着物(長襦袢)は1枚までというのが基本です。つまり着物1枚と長襦袢1枚を干したい場合には、着物ハンガーは合計2本必要ということになります。
でも初めて着物に挑戦する人の場合、何本も着物ハンガーを用意するのは大変ですよね。こんな時には、以下の順番でまとめてかけると良いでしょう。
【着物ハンガーのかけ方順(まとめがけの場合)】
1)帯
2)長襦袢
3)着物
シミがつきやすい「着物」を一番上になるようにかけた方が、汚れのチェックも正確に行えます。ただしこの着物ハンガーのかけ方は荷重(重さ)が大きくなり、安価な着物ハンガーだと変形することも。長期間のかけっぱなしは厳禁です。
着物の襟は広げてかける
着物の襟(えり)の部分は広げてからかけるようにします。伊達襟(だてえり)や重ね衿(かさねえり)が付いている場合には、襟をはずしてから着物ハンガーにかけた方が型崩れを防げます。
着物ハンガーの長さが足りない時には
「着物ハンガーのおすすめの選び方」で解説したとおり、着物ハンガーの長さは着物の裄丈に合わせるのが基本です。「でもどうしても着物ハンガーの長さが足りない…!」こんな時にはどんなかけ方が良いのでしょうか?
「その場しのぎ」の方法ですが、こんな時には伸縮タイプのハンガーをグッと縮めて、袖付(そでつけ:袖と身頃を縫い合わせた部分のこと)に長さを合わせてしまいましょう。縫い目の部分に合わせることで、できるだけシワを防ぎます。
ただしこの着物ハンガーのかけ方を何度も続けると、袖付の部分から着物が傷んでいきます。繰り返しては行わず、早めに長さが合った着物ハンガーを購入しましょう。
おわりに
着物ハンガーのおすすめ製品や、着物ハンガーの上手なかけ方のコツはいかがでしたか?
着物ハンガーは1本買っておくと、着物の時にも浴衣の時にも大活躍してくれるアイテムです。
また、最近は収納するための着物ハンガーも登場しているので、着物の収納場所に困っている人はぜひ利用してみてはいかがでしょうか。
一度買えばずっと使い続けられますから、自分のライフスタイルや着物を着る頻度にピッタリ合った製品を購入すると、想像以上に役立ちますよ。