身丈直しとは着物のサイズ直しのひとつで、着物のタテの長さを直すことをいいます。
身丈直しは丈を短くするだけでなく、実は丈を長くすることもできるため、小柄な祖母や母などから譲り受けた着物でも、自分にピッタリ合うサイズに直すことができます。

着物の身丈直しとは？

「身丈（みたけ）」とは着物のタテの長さのことで、着物の後衿中央から裾までの長さのことを指します。

この身丈のサイズを直すことを「身丈直し」といいます。

祖母や母、姉妹などから着物を譲り受けたり、お仕立て済みのアンティークの着物を購入したけれど身丈が合わない場合、年齢と共に身長が縮んで若い頃に仕立てた着物の身丈と合わなくなった場合などに「身丈直し」を行います。

仕立て直すよりも時間も費用もかからないのが大きなメリットですが、サイズによっては「身丈直し」は難しく、仕立て直さなければならないケースもあります。

身丈と着丈の違いとは？

「身丈（みたけ）」には、背身丈と肩身丈の2種類があります。

背身丈は着物の首のつけ根部分から裾（すそ）までの長さのこと。
一方、肩身丈は着物の肩の部分から裾（すそ）までの長さのこと。

どちらを採用しているかは呉服店や悉皆屋によって異なります。

一方「着丈（きたけ）」は、着物を着付けたときの後衿中央から裾までの長さのことをいいます。

一見、同じなのではと誤解しがちですが、女性の着物は帯の部分に「おはしょり」という重ねて着付ける部分を作ります。そのため、身丈には着物の着丈＋おはしょり分の長さが加わることから、着物の身丈＞着物の着丈ということになります。

ただし、男性用の着物はおはしょりを作らずに着付けるため、着物の身丈＝着物の着丈となります。

身丈直しが必要な場合とは？

着物の身丈は女性の場合、自分の身長が基準となります。
身丈が身長の前後５ｃｍ以内であれば、無理なく着ることのできる範囲なのでお直しは必要ありません。

例えば、身長１６０ｃｍなら着物の身丈が１５５～１６５ｃｍ（４尺１寸～４尺３寸）なら問題ありません。

しかし着物の身丈が5ｃｍ以上短かい場合、おはしょりがうまく作れない可能性があるため身丈直しが必要になります。

身丈が15㎝以上長い場合も、おはしょりがきれいに作れない可能性があります。美しいおはしょりの長さは8cm程度のため、身丈を短くする必要があります。

着物の身丈・着丈の測り方

実際に身丈直しを依頼する場合、自分の身丈と着丈のサイズと直してほしい着物の身丈のサイズが必要になります。

自分一人ではサイズの測定は難しいため、ご家族・ご友人等に手伝ってもらいましょう。

身丈の測り方

着物の身丈は身長とほぼ同じですから、自分の身長を測ります。
1.　柱を背にまっすぐに立ちます。
2.　柱に頭頂部の印をつけて、頭頂部から地面までの長さを測ります。

着丈の測り方

1.　まっすぐに立ちます。
2.　首の後ろの中央部にある突起（グリグリとした部分）から、かかと中央部までをまっすぐに測定します。

着物の身丈の測り方

お直しをお願いする着物の身丈は、お仕立て上がりを購入した場合、サイズが明記されているものもあるので確認を。
また、お直しを依頼したお店でも測定してくれますが、実際に自分のサイズとどの程度違うのかを把握するために測定しておくといいでしょう。

背身丈の場合

背中心で、衿付けから裾までを測ります。
ちなみに身丈は身長が基準となりますが、この場合の身丈とは着物の背身丈（身長＝背身丈）のことを指します。

肩身丈の場合

着物の肩から裾までを測ります。
肩身丈＝背身丈＋繰り越し＋付け込みとなり、肩身丈のほうが長くなります。

どちらの身丈を使用するかはお店によっても異なります。

愛用の長襦袢で測る方法も

自分のサイズも着物の寸法も、測り慣れていないため、なかなかうまく測定できないという声がよく聞かれます。

そこできものトトノエでは、現在使用しているサイズの合った長襦袢や着物を、お直しする着物と一緒に送っていただくことをご提案しています。
愛用されている着物や長襦袢のサイズを目安に、お直しさせていただくこともできます。

身丈直しの方法とは？

「身丈直し」では丈を縮めるだけでなく、丈を長くすることも可能です。
実際にはどうやって身丈直しを行っているのでしょうか。

身丈を短くしたい場合

着物の胸元部分（内揚げ）を調整する方法で、身丈を縮めます。
この方法なら着物の生地を裁断しないため、サイズを元に戻すこともできます。

柄行の問題で内揚げでの調整が難しい場合は、裾側で調整することもできます。
この場合は生地を裁断するため、身丈を再度長く伸ばすことはできません。

身丈を長くする「丈出し」

胸元部分の「内揚げ（うちあげ）」という縫込み部分があるかどうかで、丈出しができるかどうかが変わります。

内揚げにゆとりがある場合は、内揚げ部分をほどいて縫込まれていた部分を表に出すことで身丈を長くできます。

丈出しをすると、仕立ててあった時の跡である「スジ」が目立ってしまいますが、きものトトノエでは「スジ消し」を入念に行うため、スジが目立つことはありません。
どうしても筋が消えない場合には、お客様とご相談しながら対処させていただきます。

内揚げが無い場合の「胴接ぎ」

内揚げが無かったり、少ない着物の場合、一般的な丈を長くするための身丈直しを行うことができません。

そのため、おはしょりや帯で隠れる部分に別の布を継ぎ足して、着丈を長くするという方法もあります。これを「胴接ぎ」といいます。

着物に内揚げが無いから身丈直しはできないと諦めてしまわずに、まずはきものトトノエにご相談ください。

ただし、足し布を使う「胴接ぎ」は通常の身丈直しより時間も料金もかかります。
帯で隠しきれないほど足し布をする必要がある、着丈以外の裄丈や身幅が足りないなど、着物の状態によっては「胴接ぎ」できない可能性もあるので、お早めにご相談ください。

よくある身丈直しについての質問にお答えします！

Q　身丈がうまく測れません。どうすればいいですか？
A　お直しする着物と一緒に、いまの自分のサイズで仕立てた着物や長襦袢を一緒に送っていただくことをご提案しています。
同送いただいたジャストサイズの着物や長襦袢に合わせて、着物の身丈直しをさせていただきます。

Q　身丈が短いままで着るのはおかしいですか？
A　身丈が短い状態で着物を着るのはやめたほうがよいでしょう。身丈が短いとおはしょりが短くなり、形を整えにくくなるため、着物姿が美しくありません。帯から出るおはしょりが1～2㎝ほどしかないと不自然にも見えるため、無理に着ている感じが見ている方にも伝わってしまいます。

Q　内揚げ（縫込み）があるのかどうかがわかりません。
A　まずはきものトトノエに着物をお送りいただければ、内揚げなどを含めた着物り状態を確認させていただきます。
そのうえで、最適な身丈直しの方法をご提案、お見積りいたします。

Q　身丈と一緒に身幅もお直しできますか？
A　きものトトノエでは複数のサイズ直しも可能です。
ただし2カ所以上お直しする場合、着物を仕立て直した方が費用はかからないケースも。着物の状態やご希望を伺ってからベストな方法を提案、お見積りさせていただきます。

Q　小さい着物を大きくサイズ直しできますか？
A　内揚げ（縫込み）が足りなくても、胴接ぎをすることである程度の身丈直しは可能です。ただし、帯で隠しきれないほど足し布が必要だったり、裄丈や身幅が足りないなどの場合は身丈直しができない可能性もあります。
実際にサイズ直しできるかどうか、まずはきものトトノエまでお問い合わせください。

Q　着物と一緒に長襦袢もサイズ直しをしたほうがよいですか？
A　祖母や母から着物と一緒に長襦袢も譲り受けたのであれば、着物の身丈を直す時に長襦袢の着丈も直すことをオススメします。
長襦袢の着丈が長過ぎると裾から襦袢がはみ出してしまいますし、襦袢の着丈が短すぎると見栄えが悪いうえ、裾の裏に汚れが付きやすく黒ずみやすくなるなど、さまざまなデメリットがあります。できれば着物と一緒にお直ししましょう。

まとめ

せっかくリサイクルで掘り出し物の着物を見つけたり、祖母や母から高価な着物を受け継いだのに、いざ着ようと思ったら、身丈が合わなくて着にくいということが多いようです。

身丈が長いのであればおはしょりで調節する方もいると思いますが、身丈が短い場合、どうしても諦めてしまいがちです。

しかし、身丈直しなら身丈を長くすることも可能です。

仕立て直しよりも時間も費用もかからないうえ、自分のサイズに合った着物を着ることで着姿も格段と美しくなります。
着物の身丈で悩んでいる方は、ぜひ、きものトトノエにご相談してみてはいかがでしょうか。