気をつけて着たつもりなのに、気づいたら着物の衿に汚れが…こんな経験ありませんか?着物の衿は、意外と汚れやすいポイントなんです。

しかも「ほんの少しの汚れだから」と放っておくと、後々とても目立つ変色になってしまうことも!着物の衿の汚れの原因に合わせて、早めに正しいケアをしましょう。今回は着物の衿の汚れ・シミの原因と対処法をご紹介していきます。

「きものSalone」の編集長がオススメする着物クリーニングはここ。 きものtotonoe 


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汗?お化粧?着物の衿の汚れ・シミの2つの原因

着物の衿の汚れやシミの原因は、大きく分けて2つに分類できます。あなたの着物の衿汚れの原因は何でしょうか?

縦スジ汚れや黒ずみは「皮脂汚れ・汗汚れ」

着物の衿の汚れで多いのは、皮脂を含んだ汗による汚れやシミです。首は汗腺が多く、汗が垂れやすい部位。また皮脂腺も多いため、首からの汗はアブラやタンパク質を含んだ「やっかいなシミ」になりやすい傾向があります。

汗・皮脂汚れの特徴

・夏場に発生しやすい
・縦スジのように汚れが付きやすい
・着物の衿の後ろ側に特に汚れが付きやすい
・汗がひどい場合はグルリと衿全体に汚れが付く
・時間が経つと黒ずみに変化
・さらに古いシミになると黄変(おうへん)で黄色~茶褐色に変色
・放置すると地色まで変色(色抜け)する

白っぽい汚れは「ファンデーション」

女性の着物の衿に付く汚れでは、「ファンデーション」が原因であるものも少なくありません。着物の衿は洋服よりも高さがあるため、首を横に向けたりすると両アゴの脇のファンデーションが衿元についてしまうのです。

ファンデーション汚れの特徴

・首の前方・両ワキに付きやすい
・喪服や濃色の着物では白色の汚れに見える
・白色や薄色の着物では薄肌色の汚れに見える
・衿を折った状態で先端部に線のように付きやすい
・時間が経つと地色の色が抜けることがある

ベンジンでキレイに!着物の衿のシミ抜き方法

着物の衿に付いた汚れは、皮脂やファンデーション等の「油性」の成分を多く含んでいます。そのため例えば「濡れたタオルで叩く」といった「水」を含ませる対処法だけでは汚れを分解できず、シミ抜きができません。

自宅で着物の衿のシミ抜きをする場合には、油性の成分を溶かし出せる溶剤である「ベンジン」を使いましょう。ただしベンジンには使い方にコツがいるので、注意点までしっかり知って作業することが大切です。

用意するもの

・ベンジン:シミ抜き用のもの
・ガーゼ:数枚
・白いタオル:色が移り汚れてもよいもの
・作業用の手袋:ゴム製等
・マスク:ベンジンの吸引を防止するため
・メガネもしくはゴーグル:ベンジンの揮発による刺激を予防するため
・着物専用ハンガー:作業後の乾燥・型崩れ防止のため

シミ抜きの手順

1)着物の衿の部分を広げ、裏にタオルをあてておきます。
2)ガーゼにベンジンを染み込ませます。
3)衿の汚れがある部分をガーゼで軽くトントンと叩き、汚れを移し取っていきます。
4)ガーゼが触れる位置を常にずらして、キレイな面があたるようにしながら汚れを取ります。
5)汚れがほとんど取れたら、別の新しいガーゼにベンジンを含ませます。
6)ベンジンで濡れている箇所の周辺を軽く叩いて、輪郭(りんかく)がハッキリとわからないようになるまでよくボカしてなじませます。
7)着物専用のハンガーに着物をかけて、よく乾燥させます。

ベンジンを使う場合の注意点

・ベンジンは汚れだけでなく、着物の染料も分解することがあります。絶対にガーゼで着物を強くこすらないでください。色ハゲが起きる原因になります。
・染色・素材によっては、ベンジンで変色が起きることがあります。必ず作業前に共布や裏面部分等でテストをして、変色が起きないか確認しましょう。
・ベンジンの輪郭がクッキリと見える状態で乾燥させると輪ジミになります。かならず輪郭はていねいにぼかしこみましょう。
・ベンジンは気化性で、作業中や乾燥中は空気に乗って成分が部屋中に蒸発します。作業中・乾燥中は必ず窓を開け換気をしましょう。
・ベンジンは引火する危険があります。コンロ・ストーブ・ライター等は作業中には絶対に使わないでください。
・お年寄りや赤ちゃん、ペット等のいる部屋でのベンジンの作業は避けましょう。

着物の衿汚れはクリーニングの「丸洗い」で落ちる?

「自分で着物の衿汚れのシミ抜きをするのは不安」「大切な着物だしキレイに仕上げたい」そんな時にはやはり、専門のクリーニング店にお願いをするのが一番です。

でも着物の衿元の汚れ、どんなクリーニングのメニューを選べば良いのか迷ってしまう人も多いはず。こんな時には、原因やシミの古さ等に合わせてメニューを選ぶのがおすすめです。

軽いファンデーション汚れなら「丸洗い」でOK

「着物丸洗い」とは、洋服で言うところのドライクリーニングと同じ洗濯の方法です。石油系の溶剤を使って着物全体を洗っていきます。着物のクリーニングの中では、もっとも一般的なメニューと言えるでしょう。

付いたばかりのファンデーションの小さなシミであれば、着物の衿の汚れは「丸洗い」でほとんど落とすことができます。他にシミ抜き等のオプションサービスを付ける必要はほぼありません。

汗が多かった場合は「汗抜き」もプラスして

「汗をたくさんかいて着物の衿が汚れた…」という場合、衿だけでなく背中やワキ部分等にも多くの汗が吸われている可能性が高いです。

汗に含まれる塩分等の成分は、「黄変(おうへん)」という変色現象の元になります。着物の衿の軽い皮脂汚れは「丸洗い」でも落とせますが、「汗抜き」を加えて着物全体の汗の成分を取った方が安心です。

古いシミや変色したシミは「シミ抜き」を

「久しぶりに出した着物の衿に汚れがある」「いつ頃に付けたシミなのかもわからない」という場合、汚れが繊維に強く定着しているため、丸洗いだけでは着物の衿の汚れを落としきれない可能性が高くなります。

また衿の汚れが既に茶色や黄色に変色している場合も、丸洗いでは落としきれません。より専門的な漂白等の対処が必要ですので「シミ抜き」をオーダーしましょう。

地色が変色した場合は「色掛け」も必要

着物の衿の汚れを長く放置した…こんな場合、「衿の地色が変色する」という現象が起こることがあります。例えば紺色が紫色になったり、白色が黄色くなったり…といった具合です。

これは汚れの成分の一部(アンモニアやマグネシウム等)が、着物の染料を分解してしまったため。生地自体の「色抜け・変色」が起きているので、漂白等では着物を元には戻せません。

この場合は着物の「補修・修復」の専門家による作業が必要です。「色掛け(いろかけ)」という着物の染色の補修を行ってもらうことにになります。

着物専門のクリーニング店であれば、色掛けまで同じお店で依頼ができることもあります。特に変色がある場合は、着物・和装を専門にしたお店に相談をした方が良いでしょう。

おわりに

着物の衿の汚れの落とし方やクリーニング店でのオーダー方法はいかがでしたか?着物の衿のシミは、放置すれ
ばするほどやっかいなトラブルに進化してしまいます。

初期段階なら安いクリーニング料金で済んだものが、変色して色掛けとなったら数万円以上もかかる場合も!「この程度ならまだ大丈夫」と甘く見ず、早めに適切な対処を取ることが大切です。


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