正絹着物のクリーニング代は3,000円~12,000円が相場と、決して高額なお店ばかりではありません。しかし、正絹の着物はクリーニング代が高額なところに出したほうが安心、専門的にケアしてもらうと高くなるのは仕方ないのでは?と誤解している方も多いようです。
そこで、なぜ正絹の着物をクリーニングに出すのか、着物専門のクリーニング店に出した方がよい理由や、着物専門店でもクリーニング代を安く抑える方法などを紹介します。
目次
正絹の着物とは
正絹は本絹(ほんけん)ともいわれ、絹100%で作られた生地のこと。正絹の着物とは、この絹100%の生地で仕立てた着物のことをいいます。
絹は英語でシルクといわれることから正絹はシルク100%、正絹の着物はシルク100%の生地で作られた着物ということになります。
正絹の着物とはどんな着物?
正絹の着物とはどんな着物かというと、振袖や留袖、喪服、訪問着、色無地など。フォーマルシーンで着用される着物には、正絹が使用されています。
ただし、小紋などのカジュアルシーンで着用する着物にも正絹は使用されていますし、袋帯や名古屋帯、長襦袢などにも正絹の生地が使用されています。
正絹の着物の見分け方
最近のフォーマル用の着物の中には、ポリエステル素材のものも増えています。
ポリエステルの着物の中には自宅で洗濯できるものもあるため、クリーニングには出さずに自分で洗うことに挑戦してみたいという方は、案外多いのではないでしょうか。
問題は、正絹の着物かポリエステルの着物かを見分けられるかどうかです。
購入するときに生地の素材は確認していると思いますし、証紙があれば素材が何かはわかるはず。しかし、祖母の着物を譲り受けた、リサイクルショップで購入したなど、素材がわからないという方もいるようなので、正絹とポリエステルとの見分け方を紹介します。
正絹の着物は、絹ならではの上品な光沢感と高級感、きめ細やかでしなやかな手触り、人の肌に近いたんばく質でできているため、肌と馴染みやすい優しい着心地が特徴です。
そのため、まずは生地に光沢はあるか、なめらかな手触りかどうかを確認しましょう。
それだけではわからない場合には、縫い目を確認することもポイントです。
ポリエステルの着物はミシン仕立てが多いのですが、高級品である正絹の着物は手縫いが主流。そのため縫い目を見るとすぐにわかります。
また、正絹は生地をこすり合わせるとキュッという音が鳴りますが、ポリエステルは鳴らないため、生地を傷めない程度にこすり合わせる方法もあります。
着物の切れ端や着物からちょっとだけ引っ張り出した糸の切れ端などを、燃やしてみるのも一つの方法です。正絹は黒く燃えたあと灰になり、髪の毛を燃やしたような臭いがする一方で、ポリエステルは燃えたあとに固まったような状態になります
正絹の着物が自宅で洗えない理由
正絹の着物をケアする場合、家での洗濯は避けて、クリー二ングに出すのが一般的です。
では、正絹の着物を家で洗濯するのが難しい理由は何なのでしょうか。
その理由は、正絹は繊細な素材のため摩擦に弱く生地を傷めやすいこと、水に濡れると縮みやすいことが挙げられます。
また、正絹の着物は天然染料を使用しているものが多いため色落ちする可能性があること、型崩れしやすいというのに、アイロンを上手にかけるのが難しいというのも大きい要因でしょう。
着物に染み込んだ汗、化粧品や飲み物のシミなど、汚れの種類や生地の状態に応じた適切な処置が必要なこともあり、家ではその判断が難しいことも考えられます。
正絹の着物は高級品ですから、長くきれいな状態を保つためには、着られなくなるリスクを冒して家で洗濯するよりも、着物クリーニングに出すのが適切といえるでしょう。
着物のクリーニングとは
初めて着物クリーニングを利用する場合、洋服のクリーニングと何が違うのか、どんなことをするのかと疑問に思う方も多いと思います。
着物のクリーニングには、丸洗い、洗い張り、汗抜き、しみ抜きなどがあります。
丸洗い
丸洗いとは、もっとも一般的な着物クリーニングの方法です。石油系の溶剤を使って着物全体を洗浄する方法で、洋服のドライクリーニングと基本的な考え方は同じです。
着物をほどかずに丸のまま洗うため、「丸洗い」といいます。
着物についたばかりの皮脂汚れや軽いメイク汚れ、チリやホコリなどの汚れを落とすことができます
洗い張り
洗い張りは、着物をすべてほどいて反物の状態に戻して洗う方法です。
広範囲のシミや水性の汚れ、頑固なシミやカビが原因の汚れなど、丸洗いでは対処しきれない汚れを落とすことができます。
汚れの状態が良くない着物、古い着物、ニオイが気になる着物、仕立て直したい着物などのお手入れに向いており、昔の着物をよみがえらせることに役立ちます。
汗抜き
汗の成分を落とすためのクリーニングです。
着物を着ていると、自分でも気がつかないうちに汗をかいていることがほとんどです。しかも、その汗は乾いてしまうと目に見えないため、しみ込んだままの状態で保管してしまうと、後々、頑固なシミの原因となります。
着物を保管する前には丸洗いと共に必ず頼んでおくことをオススメします。
しみ抜き
特定のシミや汚れを、部分的に取り除くクリーニング方法です。
例えば、食べ物や飲み物、血液などが原因でできたしみや、時間が経過して定着してしまったシミは、丸洗いでは落としにくくなります。
また、長期間保管していたために出来てしまったカビやひどいシミなど、丸洗いでは落ちない着物のシミに対応してくれます。
丸洗い+汗抜きが一般的
着物のクリーニングといえば前述したように基本は丸洗いですが、保管する場合には、後々シミにならないように汗抜きと組み合わせるのが一般的です。
着物の状態によっては、しみ抜きを組み合わせることで、きれいにすることができます。
丸洗いやしみ抜きでは落ちない汚れの場合は、洗い張りを行ったり、さらに高度な技術でケアすることになります。
正絹の着物なら着物クリーニング専門店が安心
着物のクリーニングを依頼する場合、選択肢は3つ。
一般のクリーニング店、呉服店、着物クリーニング専門店となります。
それなら近所にある一般のクリーニング店へと考えがちですが、正絹のような高級な着物や大切な着物をクリーニングに出す場合は、着物専門のクリーニング店が断然オススメといえるでしょう。
一般のクリーニング店
一般のクリーニング店の場合、洋服のクリーニングが専門です。
そのため、お願いできるのは丸洗いだけというケースが多く、汗抜き、染み抜き、洗い張りなどの専門的なクリーニングはお願いできない可能性が高くなります。
また、着物をクリーニングするための知識や技術が乏しい店に当たってしまうと、トラブルが起こることも考えられます。
呉服屋
クリーニングをお願いできる呉服店もありますが、呉服店で直接クリーニングをするわけではなく、着物のメンテナンスを扱う専門店などの下請けに依頼する形になります。
呉服店を通している分、料金が高い、見積もりに時間がかかる、細かい作業をお願いする場合に、実際にクリーニングする方にうまく伝わらないなどの可能性が考えられます。
着物専門店
しかし着物専門店ならば、着物クリーニングに対する知識も豊富で技術力も高く、お店の人と直接、自分でやりとりができるため、安心して大事な着物を任せることができます。
中でも、宅配クリーニングで人気のきものトトノエなら、熟練の職人(匠)がクリーニングする前に着物を入念にチッェク。着物のシミの種類や程度、生地の状態を的確に判断したあと、その着物に必要な処置を提案してくれる「匠の診断」を受けることができます。
また、着物専門のクリーニング店ですから、洗い張りやカビ落とし、変色の修正など、高度な技術が必要な着物のお手入れも可能。
着物の現状と必要なクリーニング、見積もりや料金についてまで、しっかりと確認できるため、納得したうえで依頼することができます。
正絹着物のクリーニング代の相場
正絹の着物のクリーニング代は、一般的には3,000円~12,000円程度といわれています。
ただし、着物の種類やクリーニング内容によっても異なりますし、丸洗いに加えて汗抜きやしみ抜きを頼む場合には、料金が加算されます。
また、着物専門のクリーニング店には、丸洗いと汗抜きをセットにしたコースや、汗抜きやシミ抜きをオプション料金で受けているショップもあるため、専門店の選び方によっても、クリーニング代はかなり変動するといえるでしょう。
着物クリーニング相場一例 | |
---|---|
振袖 | 3,000円~15,000円 |
留袖 | 3,000円~11,000円 |
訪問着 | 3,000円~10,000円 |
長襦袢 | 3,000円~7,000円 |
袋帯 | 3,000円~7,000円 |
着物クリーニングには出来るだけ費用をかけたくない、という方も多いかもしれませんが、前述したように正絹の着物は繊細なため、料金が安価なことよりも、しっかりとした技術や専門知識を持つクリーニング店に任せることが大切になります。
だからといって、高額だから技術力の高い信頼できる店だとも言い切れません。
クリーニング店を選ぶときのポイントとしては、前述したように着物専門店であること、口コミやレビューの内容が良いこと、明確に料金とお手入れ内容が提示されていること、疑問点、不明点に対してしっかりと説明してもらえること。
これに万が一のトラブルに対する保証がついていれば、安心して任せられるのではないでしょうか。
着物のクリーニング代を安くする方法
着物クリーニングの料金は洋服とは違い、正絹などの高級品を扱うため、どうしても高くなりがちです。
しかし、高額なお店ばかりではありませんし、上手に利用すれば安くなる方法もあります。
ここでは、着物クリーニング専門店のひとつである、きものトトノエを例に挙げて紹介します。
キャンペーンやまとめ割を利用する
着物クリーニング代を安くする方法の1つ目は、キャンペーン期間を狙って利用すること。
きものトトノエでは、現在「6万点突破記念!お客様感謝キャンペーン」を行っていますが、期間中は通常7,200円の丸洗いが5,900円(税別)となっています。
2つ目は、着物と帯、長襦袢をまとめてクリーニングに出すことで割引になるお店を選ぶこと。
例えば、きものトトノエの丸洗いの場合、着物+帯または襦袢の2点で11,400円が9,600円(税別)、着物+襦袢+帯の3点で15,600円が13,100円(税別)と、まとめて出すことでかなりお得になっています。
結婚式などのフォーマルシーンで着用した正絹の着物と帯と長襦袢を、そのまま一式クリーニングに出したいときに最適です。
ゆったり納期や友だち登録でも割引に
3つ目として、納期によって料金が変わるケースがあることにも注目してください。
きものトトノエでは、ゆったり便の90日を選ぶことで、通常便の60日コースより1点につき200円の割引になりますから、次に着る予定がない着物や帯なら、ゆったり便がオススメです。
4つ目は、着物をクリーニングに出す前に、きものトトノエのLINEとお友だち登録すること。お友だち登録するだけで、すぐに使える300円割引クーポンがもらえますから、クリーニングを依頼する前に友だち登録を忘れずにしておきましょう。
これらはあくまで、きものトトノエの割引一例ですが、似たような割引やサービスを行っているお店や、ポイントが貯まるなど利用するほどお得になるサービスを展開している着物クリーニング専門店もあります。
まずは事前にどんな割引サービスがあるのか、それはいつまでに、どんな人が使用できるなどを、必ずチェックしておくことが大切です。
まとめ
高級品である正絹の着物は、水や刺激に弱く傷みやすいため、クリーニングに出すのが一般的です。
クリーニング料金は着物の種類、クリーニングの内容、お店によって異なりますが、丸洗いなら3,000円~12,000円が相場といわれています。
予算がない場合はどうしても安さに目が行きますし、着物を傷つけたくない方は料金の高さに信頼を置いてしまいがちですが、お店の判断材料はクリーニング代金だけではありません。
高級品である正絹の着物を長くきれいな状態で着続けるためには、着物専門のクリーニング店、中でも技術力の高い信頼できるお店かどうかもしっかり見極めてから、お願いすることをオススメします。