着物の洗い方は着物の素材によって変わります。また、着物の洗い方として大切なのは、洗濯の仕方だけでなく、事前に色落ちや生地が縮まないかなどの確認をしておくことです。
そこで今回は、自宅で洗える着物の素材や、実際の洗濯の仕方、注意点などを紹介します。

着物を自宅で洗う前に確認すること

着物を自宅で洗う前に、必ず確認してほしいことがあります。

自宅で洗濯できる素材なのか、どんな方法で洗濯するのか、シミや汚れのひどい部分があるのかをしっかりチェックしましょう。
素材に合わない方法で洗濯をすると、かえって着物を傷めてしまう可能性があります。

着物の素材を確認

着物の生地の素材は、主に絹、木綿、麻、ウール、ポリエステルですが、このうち木綿と麻、ポリエステルの着物は自宅での洗濯が可能です。

絹とウールは自宅で洗濯すると縮んだり、生地が傷む可能性があるのでNG。
洗濯できる素材でも、絞りや刺繍、箔加工があるものも自宅での洗濯は不可となります。
迷わずクリーニングに出しましょう。

洗濯表示(絵表示)を確認

洋服を洗濯するときと同じように、着物も洗濯表示(取り扱い絵表示)をチェック。
洗濯機で洗えるか、手洗いなのか、ドライクリーニングに出せるのかなど、洗濯の仕方を確認しましょう。

もしも洗濯表示がない場合には、自宅で洗うよりもクリーニングに出した方が安全です。

汚れやすい部分を確認

シミや汚れがないかをチェック。とくに汚れのつきやすい、下記の部分は念入りに確認を。

□汗ジミができやすい胴裏や八掛などの裏地
□砂埃や泥汚れがはねやすい裾
□顔まわりの汗や皮脂、化粧汚れがつきやすい掛衿
□さまざまなシミや汚れがつきやすい袖口
□食べこぼしや飲み物のシミがつきやすい前身頃

シミや汚れがひどい場合、無理に落とそうとすると着物が傷むので、自宅での洗濯よりもクリーニング店にお願いした方がよいでしょう。

着物を洗濯する前にやっておくこと

洗濯できる素材だから、手洗いできると洗濯表示にあったからと、すぐに洗濯してしまうのはNG。実際に洗濯してしまう前に、色落ちしたり、縮んだりしないかを確認します。

色落ちしないかを試す

洋服でも洗濯すると色落ちするものがあるように、着物の中にも色落ちするものがあります。とくに、最近人気のデニムの着物は色落ちする可能性大。

中性洗剤の原液を着物の目立たないところ、例えば、地衿の裏側や下前の衽などに少しだけ塗布して5分ほどおきます。洗剤をつけた部分を白い布で軽く叩き、色移りするかどうかを確認します。

色落ちが激しい場合は自宅での洗濯はやめて、クリーニング店に依頼しましょう。

生地が縮まないかを試す

洗える素材のはずなのに、実際に水を含んでしまうと生地が硬くなって、ごわつくことがあります。また、麻の着物は縮んでしまう可能性も。
そのため、着物を水で洗ってしまう前にテストが必要です。

地衿の裏側や下前の衽などの目立たないところを少しだけ水で濡らして、生地がどう変化するかを確認。
縮んだり、硬くなるようなら自宅での洗濯はNG。クリーニングに出しましょう。

シミ抜きをしておく

洗濯する前に、シミがついてしまった部分のシミ抜きを行います。

ファンデーション、口紅、食べこぼしなどの油性の汚れはクレンジングオイルやベンジンで、汗などの水性の汚れは中性洗剤で落とすことができます。
どちらも少量をシミにつけてタオルなどでたたきましょう。

もしもシミが落ちないようなら、自宅で洗濯しても汚れを落としきれない可能性が高いため、クリーニングをオススメします。

自宅での着物の洗い方とは

着物の素材や状態を確認した結果、自宅で洗えるとわかった着物だけを洗濯します。
手洗いだけでなく、洗濯機を使用することも出来ます。

着物の洗い方 洗濯機の場合

準備するもの

・中性洗剤(おしゃれ着用洗剤)
・洗い桶
・洗濯ネット
・着物用ハンガー

洗濯手順

1. たたんだ着物を洗濯ネットに入れて、洗濯機で洗います。
洗濯コースは洗濯表示に記載されているもの、または、手洗いコースに設定を。
脱水は洗濯機の最も弱いモードで、1分程を目安に行います。

2. 脱水が終わったら、着物用ハンガーに吊るして陰干しで乾かします。
日光に当たると色ヤケの原因になるので、必ず風通しの良い日陰に干しましょう。

3. 着物が乾いたら、あて布をして中低温でアイロンをかけます。
木綿の着物以外には、スチームは使用しないようにしましょう。

4. アイロンをかけた着物は再度着物ハンガーに吊るし、熱が冷めてから収納しましょう。

着物の洗い方 手洗いの場合

準備するもの

・中性洗剤(おしゃれ着用洗剤)
・洗い桶
・着物用ハンガー

洗濯手順

1. 桶に水をはり中性洗剤を溶かして、畳んだ状態の着物を浸けます。
高温のお湯は色落ちの原因になるので、洗濯表示の水温を守りましょう。

2. 着物を優しく押し洗いします。
こすり洗いやもみ洗いは着物を傷めるのでNG。

3. 汚れた水を捨てたら着物を押しながら水気を取り除き、新しい水で2~3回すすぎます。
洗剤の泡が出なくなったら完了です。

4. 着物の水分を取り除くため、 着物全体をタオルで包み、着物を押すようにして水切りします。

5. ある程度水切りしたら、着物用ハンガーに吊るして陰干しで乾かします。
日光に当たると色ヤケの原因になるので、必ず風通しの良い日陰に干しましょう。

6. 着物が乾いたら、あて布をして中低温でアイロンをかけます。
木綿の着物以外には、スチームは使用しないようにしましょう。

7. アイロンをかけた着物は再度着物ハンガーに吊るし、熱が冷めてから収納しましょう。

着物のお手入れはクリーニングが安全

クリーニングを利用するには費用がかかりますが、高級な着物を自分で洗ってダメにしてしまったときのことを考えれば、決して無駄な費用ではありません。

自宅での洗濯は、時間と手間がかかるわりには頑固なシミや汚れが落ちなかった、色落ちした、糸がほつれた、生地が縮んだなどのリスクがつきものですが、クリーニングをお願いすれば、そんな心配は不要です。

きものトトノエのように、目に見える汚れやシミだけでなく、見逃がしがちな汚れもしっかり確認してくれる匠診断を取り入れているクリーニング店もあり、クリーニングを上手に利用すれば、いつまでもきれいな状態の着物を楽しむことができます。

普段着にしている着物なら自宅で洗濯してもよいと思いますが、素材に関わらずおしゃれアイテムとして利用している着物なら、クリーニングがおすすめです。

まとめ

自宅で洗濯できる着物かどうかを判断するには、着物の素材と洗濯表示の確認が必要です。

木綿や麻、ポリエステルなら自宅での洗濯が可能といわれていますが、大丈夫だと思って洗ったら色落ちしたり、縮んでしまったというケースもあるよう。
そのため、洗濯する前には色落ちや生地の縮み、ごわつきのテストが不可欠です。

洗濯表示がない、手強いシミがある、汚れがひどいなど、不安要素が少しでもあるのなら、無理をせずクリーニングに出すことも必要です。