着物はクリーニングに出さないという方がいますが、これは絶対にNG!
着物をクリーニングに出さないと、落ちないシミやカビの原因になり、最悪は着物が着られなくなってしまうほど傷んでしまうことも。

そこで、着物をクリーニングに出さないという誤解の原因や、実際に着物をクリーニングに出さないとどうなるのか、どんなタイミングでクリーニングに出すかなどを紹介します。

着物はクリーニングに出さなくていいは誤解

着物を着たあとは陰干しをして、着物ブラッシングでチリやホコリを払い、汚れやシミをこまめにチェックする、という着物のお手入れ方法をご存じの方は多いのでは。

もしもシミを見つけたら、「自宅で染み抜きをすれば大丈夫」という話を聞いて、着物の染み抜き方法をインターネットで検索されている方も多いようです。

確かに、陰干しで着物の汗や湿気を取り除くことは、毎回、着物を着たあとには欠かせないお手入れです。また、軽いシミなら自宅で対処できることもあるでしょう。

ところが、この陰干しや部分的な染み抜きさえしておけば、そのままタンスなどに長期間保管しても大丈夫だと思っている方が多く、これが「着物はクリーニングに出さなくていい」という誤解を生んでいるようなのです。

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着物をクリーニングに出さないとどうなる?

実は、着物を着たあとのお手入れをいくらしっかりしていても、着物には目に見えないシミや汚れがついています。それをそのままにしてしまうと、黄変という落としにくい黄色や茶色のシミになってしまいます。

目に見えない汗や皮脂がシミに

着物を着るとどうしても汗や皮脂の汚れが染み込みます。食べ物や飲み物をこぼしたシミとは違い、汗がついても乾いてしまうと目には見えないため、気がつかないことも。

そのままタンスにしまうと、1~3年くらいで汗や皮脂の残りが酸化して、黄色や茶色のシミが出来てしまいます。

カビによるシミが酸化して黄変に

日本はカビが生えやすい気候であること、また、カビはたんぱく質が好物なのですが、正絹はその7割がたんぱく質のため、もともとカビが生えやすいともいえます。

それなのに、シミや汚れをそのままにして保管してしまうと、カビが生えてしまう可能性をさらに増やしてしまいます。気がついたときには、カビが発生した部分が少しずつ酸化し、濃い褐色や茶色のシミが広がっていることも。
しかもカビは繊維の奥まで根を張ってしまうので、自宅では取る切ることができません。

こうなると、洗い張りや染み抜きを施したあとに、上から染色補正するなど、大事になってしまいます。

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保管前には着物クリーニングで丸洗いと汗抜きを

そのため、着物を保管する前には必ず、着物のドライクリーニングである丸洗いと、汗抜きをしておく必要があります。

頻繁に着る着物の場合は、シーズンの終わりに着物クリーニングに出し、丸洗いと汗抜きをお願いしましょう。

しばらく出番のない振袖や留袖、喪服などは、たとえ一度しか着ていなくても、保管する前には必ず丸洗いと汗抜きをしておくことが大切です。

どちらも落とせないシミがついてしまっているなら、染み抜きをお願いすることも忘れずに。

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どんなお手入れが必要かは専門店で確認しよう

着物クリーニングで丸洗いをしておくことが必要なのはわかったけれど、「本当に汗抜きが必要?」という場合や、「自分で染み抜きをしたけれど、ちゃんとシミが落とせているか心配」などの場合には、一度、着物クリーニングの専門店で確認してもらうといいでしょう。

例えば、きものトトノエの匠診断なら着物をすみずみまでチェックして、生地の状態を診断。丸洗いに加えてどんなお手入れが必要なのかを提案してくれます。

長く着たい着物ほど、保管前にどんな状態なのかをしっかり把握して、最適なお手入れをしておくことが大切です。

まとめ

着物をクリーニングに出さないのは、大きな間違いです。

着物をクリーニングに出さずに長期保管してしまうと、シミやカビによる黄変を起こしてしまう可能性大。

よく着る着物はシーズンの終わりに、一度しか着ない振袖や留袖などの着物は着終わったあとに、クリーニングで丸洗いと汗抜きなどをしてから保管しましょう。