黒留袖のクリーニングには丸洗い、汗抜き、染み抜きが必要になります。
そのため、黒留袖のクリーニングは職人のいる専門店に出してほしいのですが、そもそも、どんなお手入れをしているのかがわからないという声をよく耳にします。
そこで今回は、黒留袖のクリーニングにどんなことを行っているのか、専門店のクリーニングは何が違うのか、きものトトノエを例にとって紹介します。
目次
黒留袖クリーニングの基本「丸洗い」
黒留袖をクリーニングする場合、基本となる洗い方が「丸洗い」です。
丸洗いとは、着物を解かず仕立て上がった状態で、全体をドライクリーニングする方法です。
お店によっては洗濯機で洗ってしまうところもあるようですが、きものトトノエでは丁寧な手作業による「下洗い」のあと、ネットに入れて、機械での「丸洗い」を行っているため、「丸洗い」では専用の溶剤を使っているため、金箔·刺繍·螺鈿などの加工部分を傷める心配がありません。
しかも汚れがひどい部分は専用の洗浄液で下洗いして、口紅やファンデーション、皮脂などの油性のシミや汚れは予め落としておきます。
下洗いが済んだら、きものトトノエ専用の洗浄溶剤で黒留袖を丁寧に洗浄し、仕上げのすすぎを行っていきます。
きものトトノエで使用している洗浄液には消臭効果、除菌効果があるため、とても衛生的に仕上がります。
丸洗い以外に必要なお手入れとは
黒留袖のクリーニングには基本の丸洗いだけでなく、汗抜きやシミ抜きなどが必要となります。
匠診断で黒留袖の状態をチェック
きものトトノエで「匠診断」を希望されると、クリーニングの前に熟練の職人が、お預かりした黒留袖をすみずみまで入念にチェック。
黒留袖についてしまったシミの種類や程度、生地の状態を的確に判断して、着物の持ち主に知らせてくれます。
どんなお手入れが必要なのか最適な処理を提案し、要望に合わせて見積もりを出してくれるから、安心して相談することができます。
着物の保管前には汗抜きは必須
黒留袖にしみ込んだ汗は目に見えないため、放置されがちです。
また、丸洗いは口紅やファンデーション、皮脂などの油性のシミには効果を発揮しますが、汗や汗シミのような水溶性のシミは落とすのが難しいため、クリーニングに出したときには丸洗いとともに、必ず汗抜きをしておくことがシミの予防になります。
ファンデーションなどの染み抜き
ファンデーションなどのメイク汚れは衿につきやすく、そのまま応急処置程度で保管してしまうと、シミになってしまうことがありますから、保管前にはしっかり落としておきましょう。
保管中に見つけた古い染み抜き
着る機会がなくて長期間保管していると、湿気のせいで黒留袖の地色が茶色く変色することがあります。
気づいた時には柄の上にはシミが広がってしまっていることも。
古いシミは取りにくいうえ、黒留袖には金箔・刺繍・螺鈿などの様々な加工があるため、変色している部分によっては染み抜きが難しい可能性も。
シミを見つけたらすぐに専門店で診断してもらい、古いシミ用の染み抜きをしてもらうことが必要です。
気づきにくい紋泣きのお手入れも
自分では気づきにくいのが「紋泣き」です。
紋泣きとは黒留袖の紋の部分が水に濡れたことで、染料がにじんでしまうことで、紋が涙を流しているように見えるため「紋泣き」といいます。
きものトトノエでは、この紋泣きの修繕も可能です。
黒留袖にとって家紋は重要な部分ですから、しっかり直してキレイな紋にしましょう。
白い家紋の染みは紋洗いで対応
黒留袖の変色をもっとも見つけやすいのが白い家紋の部分です。
実は家紋の一部が湿気で茶色く変色してしまう事がよくあります。
とくに胸の家紋は目立つところなので、キレイに洗った方が着姿も美しく見えます。
比翼地は部分的な付け直しも可能
黒留袖は比翼仕立てのため、衿、脇、上前、袖口、裾に白い比翼地が付いています。
この比翼地がは変色している事があります。染み抜きで対処しますが、それでは難しい場合は、変色した部分だけ比翼地を付け替えることもできます。
留袖染み抜き・クリーニング料金表
丸洗いクリーニング 匠診断で6,930円(税込)
汗処理 2,310円(税込)
染み抜きクリーニング お見積り
古い染み抜き お見積り
カビ処理 お見積り
襦袢の丸洗い 匠診断付きで 5,060円(税込)
半衿交換 4,125円(税込)
匠診断2点セット 11,110円(税込)
紋泣き お見積り 1万9,800円(税込)~
※料金は全て税込価格です。
よくある黒留袖への質問にお答えします!
Q 当分着ない黒留袖には必要なお手入れは?またトータルの料金は?
A 保管する前のクリーニングには、丸洗いと汗抜きが必須。できれば匠診断でくまなくシミや汚れもチェックして、必要ならば染み抜きも行えば万全です。料金は状態によって異なりますが、事前見積りで確認、相談ができます。
Q コーヒーをこぼしたときも丸洗いで大丈夫?
A 部分的にコーヒーのシミや汚れがある場合は、染み抜きに出しましょう。そのまま保管する予定なら、丸洗いと汗抜きも一緒に行うことをオススメします。
Q タンスから黒留袖を出したら衿に白い汚れが……。キレイに落ちますか?
A 衿元の汚れはファンデーションや皮脂汚れの可能性大。最近の汚れなら染み抜きで落ちますが、昔のシミが変色して黄変になってしまった場合は、黄変抜きという特殊な対応が必要になります。よほどひどい変色でなければ、キレイになります。
Q 久しぶりに黒留袖を出したらカビが凄いのですが、落ちますか?
A カビの程度にもよりますが、軽いものならカビ取りクリーニング、カビが地色を変色させているほど重症なら、見積り提出後、お客様の納得の上、カビ対処の作業を行います。
Q 黒留袖の箔が剥がれて地色に移ってしまいました。直せますか?
A 湿気が原因で金箔が反対側に移ってしまう事があります。そのまま自分では触らずに専門店に任せることで、剥がれた箔も一緒に直せる可能性が高くなります。
Q 比翼仕立てになっていないのですが、比翼仕立てにしてもらえますか?
A 比翼仕立てにすることは可能です。お手持ちの比翼地を利用して比翼仕立てにする方法と、こちらで用意した新品の比翼地を取り付ける方法があります。
Q 比翼地の裾が出ているようですが、このまま着ても大丈夫?
A 比翼地は表地よりも5mmほど短くなくてはいけません。もしも、黒留袖を着物ハンガーにかけて白い比翼地が表地より出ているようなら、お直しが必要です。
Q 長襦袢のサイズが黒留袖と合わないのですが、お直しは可能ですか?
A 黒留袖と着用する予定の長襦袢を一緒に送ってもらうことが出来れば、寸法を測って留袖のサイズに合わせたお直しが可能です。
まとめ
滅多に着ることのない黒留袖は、着用後、すぐにまた保管することがほとんどです。
一度仕舞うと次はいつ出番が来るかわからないため、保管前には必ずクリーニングに出しましょう。
また、黒留袖のクリーニングには、丸洗い、汗抜き、染み抜きを行うのが一般的です。
できれば、きものトトノエのような専門店にお願いして、シミや汚れの状態をくまなくチェックし対応しておくと、いつまでもきれいな状態の黒留袖を維持することができます。